カスタムフォームフィールドタイプの作成方法

Symfony には、フォーム作成に関するたくさんのコアフィールドタイプが付いてきます。しかし、特定の目的のためにカスタムフィールドタイプを作成したいときもあります。このレシピでは、既にある選択フィールドをベースとした性別の選択を行うフィールドを作成する必要がある、ということを想定します。このセクションでは、フィールドの定義方法、フィールドのレイアウトのカスタマイズ方法、フィールドのアプリケーションへの登録方法を説明します。

フィールドタイプの定義

カスタムフィールドタイプを作成するには、まずそのフィールドを表すクラスを作成する必要があります。今回は、そのフィールドタイプを保持するクラスを GenderType とします。そして、そのファイルはフォームフィールドのデフォルトの位置である <BundleName>\Form\Type に格納されるとします。フィールドに Symfony\Component\Form\AbstractType を拡張させるのを忘れないでください。

# src/Acme/DemoBundle/Form/Type/GenderType.php
namespace Acme\DemoBundle\Form\Type;

use Symfony\Component\Form\AbstractType;
use Symfony\Component\OptionsResolver\OptionsResolverInterface;

class GenderType extends AbstractType
{
    public function setDefaultOptions(OptionsResolverInterface $resolver)
    {
        $resolver->setDefaults(array(
            'choices' => array(
                'm' => 'Male',
                'f' => 'Female',
            )
        ));
    }

    public function getParent(array $options)
    {
        return 'choice';
    }

    public function getName()
    {
        return 'gender';
    }
}

Tip

このファイルの配置場所は、重要ではありません。 Form\Type ディレクトリは習慣です。

getParent メソッドの返す値は choice を拡張していることを示しています。 つまり、デフォルトではchoiceフィールドタイプのロジックとレンダリングを継承するという意味です。ロジックを見るには ChoiceType クラスを見てみてください。特に重要なのは次の3つのメソッドです。

  • buildForm() - 全てのフィールドタイプに buildForm メソッドがありますが、ここでフィールドを設定したり構築したりすることができます。自作のフォームを作るときと同じメソッドで、同じように動作します。
  • buildView() - このメソッドはフィールドをテンプレートにレンダリングする際に、追加の変数をセットするのに使います。例えば、 ChoiceType では multiple という変数がテンプレートで select 要素に multiple 属性を追加するかどうかを判断するのに使います。詳しくは `Creating a Template for the Field`_ を見てください。
  • getDefaultOptions() - このメソッドは、フィールドタイプの buildForm()buildView() で使うことができるオプションを定義します。全てのフィールドタイプに共通のオプションもたくさんありますが( FieldType を見てください)、必要なら新しいオプションをここで追加することができます。

Tip

たくさんのフィールドを使ったフィールドを作ろうとしている場合は、”親”のタイプを form 又は form を拡張した何かにしてください。 また、親のフィールドタイプから子のフィールドタイプのビューを制御したい場合は、 finishView() メソッドを使ってください。

getName() メソッドは、アプリケーションの中で一意な識別子を返します。この識別子はフィールドタイプのレンダリングをカスタマイズする場合など、多くの場所で使います。

いま作っているフィールドのゴールは、性別の選択ができるようにchoiceフィールドタイプを拡張することです。 choices を選択可能な性別のリストに固定することで実現できます。

フィールドのテンプレートの作成

全てのフィールドタイプは、テンプレートフラグメントを使ってレンダリングされ、 getName() を使って識別されます。 詳しくは フォームテーマとは何か? を読んでください。

今回は、親フィールドが choice なので、カスタムフィールドタイプは自動的に choice と同じようにレンダリングされ、カスタマイズする必要はありません。 しかし、例として使うために、フィールドが”expanded”の場合(selectでなくradioやcheckboxを使う場合)に、 ul` 要素を使ってレンダリングしたいと考えてみましょう。 フォームテーマのテンプレート(詳細は上のリンクを見てください)に、 ``gender_widget ブロックを作ってください。

  • Twig
    {# src/Acme/DemoBundle/Resources/views/Form/fields.html.twig #}
    {% block gender_widget %}
        {% spaceless %}
            {% if expanded %}
                <ul {{ block('widget_container_attributes') }}>
                {% for child in form %}
                    <li>
                        {{ form_widget(child) }}
                        {{ form_label(child) }}
                    </li>
                {% endfor %}
                </ul>
            {% else %}
                {# choice widgetにそのままselectタグを出力させる #}
                {{ block('choice_widget') }}
            {% endif %}
        {% endspaceless %}
    {% endblock %}
    
  • PHP
    <!-- src/Acme/DemoBundle/Resources/views/Form/gender_widget.html.twig -->
    <?php if ($expanded) : ?>
        <ul <?php $view['form']->block($form, 'widget_container_attributes') ?>>
        <?php foreach ($form as $child) : ?>
            <li>
                <?php echo $view['form']->widget($child) ?>
                <?php echo $view['form']->label($child) ?>
            </li>
        <?php endforeach ?>
        </ul>
    <?php else : ?>
        <!-- choice widgetにそのままselectタグを出力させる -->
        <?php echo $view['form']->renderBlock('choice_widget') ?>
    <?php endif ?>
    

Note

正しいウィジェット接頭辞が使われていることを確認してください。今回の例では、名前は、 getName が返す値によれば、 gender_widget であるべきです。さらに、メインのコンフィギュレーションファイルにおいてカスタムフォームテンプレートを設定して、全てのフォームで使用できるようにしておかなければなりません。

  • YAML
    # app/config/config.yml
    twig:
        form:
            resources:
                - 'AcmeDemoBundle:Form:fields.html.twig'
    
  • XML
    <!-- app/config/config.xml -->
    <twig:config>
        <twig:form>
            <twig:resource>AcmeDemoBundle:Form:fields.html.twig</twig:resource>
        </twig:form>
    </twig:config>
    
  • PHP
    // app/config/config.php
    $container->loadFromExtension('twig', array(
        'form' => array(
            'resources' => array(
                'AcmeDemoBundle:Form:fields.html.twig',
            ),
        ),
    ));
    

フィールドタイプの使用

ここまでで、フォーム内でカスタムフィールドタイプのインスタンスを作成すれば、すぐにカスタムフィールドタイプを使用できるようになりました。

// src/Acme/DemoBundle/Form/Type/AuthorType.php
namespace Acme\DemoBundle\Form\Type;

use Symfony\Component\Form\AbstractType;
use Symfony\Component\Form\FormBuilderInterface;

class AuthorType extends AbstractType
{
    public function buildForm(FormBuilderInterface $builder, array $options)
    {
        $builder->add('gender_code', new GenderType(), array(
            'empty_value' => '性別を選んでください',
        ));
    }
}

GenderType() はとてもシンプルなのでこれで動作します。しかし、 gender コードが設定ファイルやデータベースに格納されていたらどうでしょうか?次のセクションでは、複雑なフィールドタイプでどうやってこの問題を解決するのか説明します。

フィールドタイプをサービスとして作成

ここまでこの記事では、カスタムフィールドタイプがとてもシンプルであることを想定していました。しかし、コンフィギュレーション、データベース接続、他のサービスなどにアクセスが必要になったときは、 タイプをサービスとして登録するのが良いでしょう。例として、 gender パラメータをコンフィギュレーションに格納するとしましょう。

  • YAML
    # src/Acme/DemoBundle/Resources/config/services.yml
    services:
        acme_demo.form.type.gender:
            class: Acme\DemoBundle\Form\Type\GenderType
            arguments:
                - "%genders%"
            tags:
                - { name: form.type, alias: gender }
    
  • XML
    <!-- src/Acme/DemoBundle/Resources/config/services.xml -->
    <service id="acme_demo.form.type.gender" class="Acme\DemoBundle\Form\Type\GenderType">
        <argument>%genders%</argument>
        <tag name="form.type" alias="gender" />
    </service>
    
  • PHP
    // src/Acme/DemoBundle/Resources/config/services.php
    use Symfony\Component\DependencyInjection\Definition;
    
    $container
        ->setDefinition('acme_demo.form.type.gender', new Definition(
            'Acme\DemoBundle\Form\Type\GenderType',
            array('%genders%')
        ))
        ->addTag('form.type', array(
            'alias' => 'gender',
        ))
    ;
    

Tip

サービス設定ファイルがインポートされるのを確認してください。詳細は、 imports を使ってコンフィギュレーションをインポートする を参照してください。

alias タグが、以前定義した getName メソッドの返り値と一致しているのを確認してください。カスタムフィールドタイプを使用する際に、このことが重要であるということがわかります。まず最初に、gender の設定を引数として受け取ることになる __construct を``GenderType`` に追加してください。

// src/Acme/DemoBundle/Form/Type/GenderType.php
namespace Acme\DemoBundle\Form\Type;

use Symfony\Component\OptionsResolver\OptionsResolverInterface;

// ...

// ...
class GenderType extends AbstractType
{
    private $genderChoices;

    public function __construct(array $genderChoices)
    {
        $this->genderChoices = $genderChoices;
    }

    public function setDefaultOptions(OptionsResolverInterface $resolver)
    {
        $resolver->setDefaults(array(
            'choices' => $this->genderChoices,
        ));
    }

    // ...
}

できました!これで GenderType はコンフィギュレーションパラメータによって動くようになり、サービスとして登録されました。更に、コンフィギュレーションで form.type エイリアスを使用したのでフィールドを使うのがより簡単になりました。

// src/Acme/DemoBundle/Form/Type/AuthorType.php
namespace Acme\DemoBundle\Form\Type;

use Symfony\Component\Form\FormBuilderInterface;

// ...

class AuthorType extends AbstractType
{
    public function buildForm(FormBuilderInterface $builder, array $options)
    {
        $builder->add('gender_code', 'gender', array(
            'empty_value' => 'Choose a gender',
        ));
    }
}

このように、新しいインスタンスを初期化するのではなく、サービスコンフィギュレーションの gender 内で使われているエイリアスで参照できるようになりました。

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