新しい環境を作成して、使いこなす方法¶
全てのアプリケーションは、コードとコンフィギュレーションの組み合わせで、コードは機能の動作を決定します。コンフィギュレーションは、使用しているデータベース、何をキャッシュするべきか、ログをどこまで冗長にするか、といったことを定義します。 Symfony2 の “environments” の考えは、複数の異なるコンフィギュレーションで同じコードベースを実行させるという考えになります。例えば、 dev 環境は、開発をより簡単にしやすくするためのコンフィギュレーションを使用するべきですし、 prod 環境では、スピードを最適化したコンフィギュレーションを使用するべきです。
異なる環境、異なるコンフィギュレーションファイル¶
標準的な Symfony2 アプリケーションでは、 dev, prod, test の3つの環境があります。すでに議論したように、それぞれの “environment” は、異なるコンフィギュレーションで、同じコードを実行することを示しています。それぞれの環境は、独自のコンフィギュレーションファイルをロードしています。 コンフィギュレーションのフォーマットに YAML を使用しているのであれば、次のファイルが使用されます。 :
- dev 環境: app/config/config_dev.yml
- prod 環境: app/config/config_prod.yml
- test 環境: app/config/config_test.yml
これは、 AppKernel クラスのデフォルトで使用されているシンプルな標準を経由して動作します。
// app/AppKernel.php
// ...
class AppKernel extends Kernel
{
// ...
public function registerContainerConfiguration(LoaderInterface $loader)
{
$loader->load(__DIR__.'/config/config_'.$this->getEnvironment().'.yml');
}
}
上記を見ればわかるように、 Symfony2 がロードされると 与えられた環境(environment) がどのコンフィギュレーションファイルをロードするか決定します。こうすることによって、エレガントに、パワフルに、そして透過的な方法で、複数の環境を実現できるのです。
もちろん、実際には、それぞれの環境は、他の環境と多少しか異なりません。一般的に全ての環境は共通のコンフィギュレーションのベースのほとんどを共有しています。 “dev” コンフィギュレーションファイルを見てみると、それを簡単に透過的に実現する方法を見ることができます。
-
YAML
imports: - { resource: config.yml } # ...
-
XML
<imports> <import resource="config.xml" /> </imports> <!-- ... -->
-
PHP
$loader->import('config.php'); // ...
共通のコンフィギュレーションを共有するため、それぞれの環境のコンフィギュレーションがまず最初に config.yml という元となるコンフィギュレーションファイルをインポートしています。そして残りで、個々のパラメータをオーバーライドすることでデフォルトのコンフィギュレーションを変更します。例えば、デフォルトでは、 web_profiler は無効になっています。しかし、 dev コンフィギュレーションファイルでデフォルトの値を変更しているので、このツールバーは、有効になっています。
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YAML
# app/config/config_dev.yml imports: - { resource: config.yml } web_profiler: toolbar: true # ...
-
XML
<!-- app/config/config_dev.xml --> <imports> <import resource="config.xml" /> </imports> <webprofiler:config toolbar="true" # ... />
-
PHP
// app/config/config_dev.php $loader->import('config.php'); $container->loadFromExtension('web_profiler', array( 'toolbar' => true, // .. ));
異なる環境でアプリケーションを実行する¶
フロントコントローラからアプリケーションをロードして、それぞれの環境でアプリケーションを実行します。 prod 環境であれば app.php で、 dev 環境であれば app_dev.php になります。
http://localhost/app.php -> *prod* environment
http://localhost/app_dev.php -> *dev* environment
Note
上記の URL では、アプリケーションのウェブルートとして、 web/ ディレクトリを使用するようにウェブサーバに設定されていると想定しています。詳細は、 Installing Symfony2 を参照してください。
これらのファイルを見てみると、それぞれのフロントコントローラによって環境(environment)が明示的にセットされているのがわかると思います。
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<?php
require_once __DIR__.'/../app/bootstrap_cache.php';
require_once __DIR__.'/../app/AppCache.php';
use Symfony\Component\HttpFoundation\Request;
$kernel = new AppCache(new AppKernel('prod', false));
$kernel->handle(Request::createFromGlobals())->send();
|
上記の通り、 prod キーは、この環境が prod 環境で動作するように指定しています。 Symfony2 のアプリケーションは、このコードと環境(environment)の文字列を変更すれば、どの環境でも実行が可能になります。
Note
test 環境はファンクショナルテストから使用でき、フロントコントローラを介してブラウザからは直接アクセスすることはできません。つまり他の環境と違い、 app_test.php フロントコントローラファイルは存在しません。
新しく環境を作成する¶
デフォルトでは、 Symfony2 のアプリケーションは、3つの環境があり、ほとんどケースは、これで十分でしょう。しかし、もちろん環境はコンフィギュレーションに対応する文字列以上の何者でもないので、新しい環境もとても簡単に作成できます。
例えば、開発前に、アプリケーションをベンチマークしなければならないとしましょう。アプリケーションをベンチマークする方法として、 Symfony2 の web_profiler のみを有効にした本番環境に似た設定を使うことができます。そうすれば、 Symfony2 はベンチマークの間アプリケーションに関する情報を記録することができます。
例として benchmark という環境を新しく作成し、これを実現してみましょう。新しいコンフィギュレーションファイルを作成してください。
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YAML
# app/config/config_benchmark.yml imports: - { resource: config_prod.yml } framework: profiler: { only_exceptions: false }
-
XML
<!-- app/config/config_benchmark.xml --> <imports> <import resource="config_prod.xml" /> </imports> <framework:config> <framework:profiler only-exceptions="false" /> </framework:config>
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PHP
// app/config/config_benchmark.php $loader->import('config_prod.php') $container->loadFromExtension('framework', array( 'profiler' => array('only-exceptions' => false), ));
このシンプルな追加のみで、アプリケーションは新しく benchmark 環境を使用できるようになりました。
この新しいコンフィギュレーションは、 prod 環境のコンフィギュレーションをインポートし、プロファイラに関する情報を変更しています。つまり、新しい環境は prod 環境と同じですが、明示的に上書きした部分だけが異なることになります。
ブラウザからアクセス可能な環境を作成したければ、新しくフロントコントローラも作成する必要があります。 web/app.php ファイルを web/app_benchmark.php ファイルにコピーして環境(environment)を benchmark に書き換えてください。
<?php
require_once __DIR__.'/../app/bootstrap.php';
require_once __DIR__.'/../app/AppKernel.php';
use Symfony\Component\HttpFoundation\Request;
$kernel = new AppKernel('benchmark', false);
$kernel->handle(Request::createFromGlobals())->send();
これで次の URL をアクセスすると新しい環境でアクセスえきるようになりました。
http://localhost/app_benchmark.php
Note
dev のような環境は、一般の公開としてデプロイしたサーバからはアクセスさせてはいけません。なぜならデバッグを目的とした特定の環境は、アプリケーションや動作しているインフラに関する情報がたくさん詰まっているからです。これらの環境がアクセス可能になっていないことを調べるために、フロントコントローラは、コードの上部に次のように指定して、外部 IP アドレスからのアクセスを保護しています。
if (!in_array(@$_SERVER['REMOTE_ADDR'], array('127.0.0.1', '::1'))) { die('You are not allowed to access this file. Check '.basename(__FILE__).' for more information.'); }
環境とキャッシュディレクトリ¶
Symfony2 では、多くの方法でキャッシュのアドバンテージを享受できます。アプリケーションのコンフィギュレーション、ルーティングコンフィギュレーション、 Twig テンプレートや、ファイルシステム上のファイルに格納された PHP オブジェクトまでもキャッシュすることが可能です。
デフォルトでは、これらのキャッシュファイルのほとんどは、 app/cache ディレクトリに格納されます。しかし、各環境のキャッシュは、まとめて次の 以下にキャッシュされます。
app/cache/dev - *dev* 環境のキャッシュディレクトリ
app/cache/prod - *prod* 環境のキャッシュディレクトリ
デバッグする際に、実際にどう動いているのか理解するためにキャッシュファイルを調査することが便利なときもあります。その際には、デバッグしている環境によるディレクトリの中を探してください(ほとんどの場合、開発やデバッグになりますので dev になります)。 app/cache/dev ディレクトリの場合は、次のようになっています。 :
- appDevDebugProjectContainer.php - キャシュされた “サービスコンテナ” で、キャッシュされたアプリケーションコンフィギュレーションを指します
- appdevUrlGenerator.php - URL 生成の際のルーティングコンフィギュレーションによって生成された PHP クラス
- appdevUrlMatcher.php - ルートのマッチングに使われる PHP ファイルで、URL をマッチさせるルートに使用されますので、コンパイルされた正規表現のロジックを見るにはここを参照してください
- twig/ - キャッシュされた全ての Twig のテンプレート
さらに進むには¶
詳細は、 サービスコンテナで外部パラメータをセットする方法 を参照してください。